• 平成二十五年十月二日

    • From : Dublin

    先々日の九月三十日に京都から東京へ。そしてきのうの十月一日は「F/T13アーティスト・フォーラム」に参加した(その様子がここにアーカイブされてます)。その夜は、東京駅の近くのホテルに宿泊。今日はそこから成田エクスプレス。今回はエールフランスに乗ってパリを経由してダブリンに向かう。

    九月の二十八日と二十九日に京都での『地面と床』国内初演を終えて、自分の心の中で大きな区切りがついた。「完成度が高い」とか「かっこいい」などと言われることが多かった。もちろん、揶揄的なものも含まれてる。でも、そんなこと言われるなんて意外だった。完成度が高く見えるのは、たぶん、音楽の完成度が高いからだろう。テクニカル・チームがしっかりしているからだろう。そして、役者の人選に関して今回は冒険をまったくせず、ガッチガチに全幅の信頼をおける人だけを集めたからだろう。
    今日は珍しく機内で映画を二本も見た。『グラン・トリノ』と『トゥルーマン・ショー』。どちらもまだ見たことなかったんです。
    パリからダブリンは飛行時間は二時間。一時間の時差があるから、午後六時に発って午後七時に着。空港にダブリン・シアター・フェスティバルからお迎えの車が来てくれていて、それに乗って三十分ほどでホテルへ。広くて快適な部屋で嬉しい。バスタブもついてる。ホテル内のビストロで食事してギネスビール飲んで、寝る。

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  • 平成二十五年十月三日

    • From : Dublin

    ホテルの部屋の居心地がかなり良い。CDプレイヤーまで付いてる。ちょうど一枚だけ、京都公演を見に来てくれたある方からCDをいただいて携行していたので、部屋にいるときはそれかけっぱなしにしてる。「ジョン・ケージ・ショック vol.2」というやつ。

    朝ご飯をたべて、部屋で仕事して、お昼過ぎにおなかがすいてきて、どこか食べるところを探しがてらホテル周辺を散歩した。ホテルはゲーリックフットボール(という、ラグビーとサッカーのあいのこみたいなアイルランドのスポーツがあるのです。僕は知らなかった。こういうやつだそうです)の、なんでも八万人収容らしいスタジアム、クローク・パーク、の真向かいにあって、要するに街の中心部からちょっと外れてる。十五分ほどふらついてようやく見つけた適当なダイナーで適当な腹ごしらえ。
    散歩の道すがら、ところどころに見るからに政治広告とわかるボードが掲示されているのが目に付く。かたや「VOTE YES」、かたや「VOTE NO」。なんでも、上院を廃止するか否かを決する国民投票があるらしい、それも、なんと明日が投票日。おいおいずいぶんタイムリーなときにアイルランドに来たもんだな俺ら。
    夕方遅くにホテルに迎えの車が来て、それに乗って役者と一緒に劇場入り。由緒ありまくりのトリニティ・カレッジの中にある劇場は、名前も名前でサミュエル・ベケット・シアター。時間ぎりぎりまで調整作業して、十時に退館。お腹が減った。当てにしていたホテルのビストロは、九時半で食べ物が終わっていた。がーん。しかたないのでギネスだけ飲んで、寝る。

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  • 平成二十五年十月四日

    • From : Dublin

    当然の帰結として七時前に朝食会場へ。そして朝食を食べたら眠気が襲ってきた。部屋に戻って二度寝。一時にホテルに車がお出迎え。二時から照明の調整。三時から二時間弱、リハーサル。そして本番は七時半から。大学の中の施設だけれど、お客さんはびっくりするくらい年輩の人ばっかりだった。初日は無事にあける。なんか今日は、あっさりした日記ですが。

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  • 平成二十五年十月五日

    • From : Dublin

    朝ご飯食べてから、ホテルの部屋で仕事。午前十一時から、パソコンで Ustream を見る。日本は午後七時。京都市役所の庁舎の壁にプロジェクションされるパフォーマンス、高嶺格さんの『ジャパン・シンドローム~ベルリン編』のライブ中継。見ているあいだ、なんとなく高嶺さんのあの超名作《God Bless America》を思いだしてた。

    今日は天気がいいので、昼過ぎに出発して、テンプル・バーという盛り場エリアまでぶらぶら歩き。そこに、坂手洋二さんが Facebook 経由で教えてくれた、アイリッシュ・フィルム・インスティチュートがあるので、三十分ちょっとかけて散歩した。お腹が空いていたので、到着したら、中のカフェでお昼ごはん。四時過ぎから、トリュフォーの『突然炎のごとく』を見る。
    上映が始まって五分もしないうち、異変が。フィルムの投影のピントがずれて、なにが映ってるのかよくわからなくなる。すぐに回復するかと思いきや、事態は改まらず、ざわつく場内。やがて照明がつき、上映はいったん止まり、数分後再開。それ以降は問題なく、普通に上映はすすんだ。でも、映写機をいじんなきゃ途中でピントが外れることなんてないんじゃないのかな? なんであんなことになったんだろ?
    十五年近く前、銀座のテアトル西友で映画を見ていたときも、フィルムが切れたのだったかなんだったか、詳細は忘れたがトラブルで上映がいったん止まる事故に出くわしたことがあったけど、そういやあれもトリュフォーで、『アデルの恋の物語』だった。あのときは終映後に、お詫びってことでタダ券一枚もらった。
    それからいつものように、トリニティ・カレッジのキャンパスを通って劇場へ。国民投票の結果が出ていた。上院の廃止案をアイルランドの人たちは僅差で否決した。投票率は四十パーセントに満たなかった。低いんだなあ。
    今日は終演後、アフタートークがあった。今日のトークで僕的に新鮮だったのは、この芝居と震災とのつながりが、お客さんに全然ぴんときていなかったこと。もしかすると、二年前に日本で大きな地震があったこと自体知られていないんじゃないか、と思うほどだった。この感触、たとえばドイツなんかとじゃ全然ちがう。これが島国ってことなのかなあ、なんてことも思ったりする。
    今夜は、在ダブリンの日本大使館の方々が観劇してくれた。
    今日も夕食は食べられず、ホテルでビールとポテトチップス。

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  • 平成二十五年十月六日

    • From : Dublin

    今日の公演は二時半から。十一時過ぎにホテルを出て、歩いてダブリン・シティ・ギャラリーへ。ここにフランシス・ベーコンのロンドン時代のアトリエが展示されてるってことを、ダンサーの池田扶美代さんに、やはり Facebook 経由で教えてもらったので、見にいった。散らかってて、汚い。僕も部屋を散らかしっぱなしにするのが得意な人なので、親近感。ベーコンほどの人が、整頓された場所じゃ仕事できないんだよ、ちらかってるところほうがずっとやりやすいんだよ、とか言ってくれてると助かります。
    ダブリン最後の公演も、お客さんはしっかり入ってくれて、よかった。終演後、フェスティバルのディレクター、ウィリー・ホワイトさんとテンプル・バーのパブへ。ギネス以外の美味しいビールってないのかなあ、と思っていくつか試していたけどやっとありつけた。オハラ o'hara's っていうペール・エール。劇場に戻ると撤収作業も終わっていた。チェルフィッチュの一行はグループでどこかテンプル・バーのお店に行く目星をつけていようだけど、僕は戻ってホテルのビストロでご飯たべてから軽く仕事して寝る。

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